IPストレージ技術「iSCSI」を試す
ネットワーク分野で最近注目のトピックの1つに、「ネットワーク・ストレージ」があります。
「ストレージといえば、サーバに接続するもの」という概念を一歩抜けて、ストレージ自体をネットワーク化することで、冗長性や拡張性、容易な管理の仕組みを実現するのですが、これは一般に「SAN(Storage Area Network)」と呼ばれており、ファイバ・チャネルという専用インターフェイスを用いて、機器同士の接続が行われていました。
ですが、高いパフォーマンスが得られる反面、価格面やエンジニアのスキルなどの問題で、普及が進みにくい、一般的ではないということもありました。
その中で登場した「iSCSI」、この技術は、従来の汎用ネットワーク・インフラを用いてSANシステムを構成できる点で注目を集めつつあります。
そこで、一般的な環境に、テスト導入を行ってみました。
● ネットワーク、100Mbps (LAN)
● サーバ設定、某 NEC デスクトップ (CentOS 5.3)
● クライアント設定、某 LENOVO デスクトップ (Windows XP)
◆◆◆以下、作業手順◆◆◆
●unameコマンドを利用して,現在のカーネルのリリース情報を調べておく
kernel の version が 2.6.14 以降しかダメらしい。
# uname -r -m
●ハードディスクのパーテーションから、
iSCSI で使用する容量を確保する
空き容量が無い場合は、「Linux lvm パーテション 縮小」でググり、
lvmボリュームサイズを縮小してから下を実行のこと。
・ボリュームグループ(VG)の照会
# vgdisplay
— Volume group —
VG Name VolGroup00
System ID
Format lvm2
Metadata Areas 1
Metadata Sequence No 4
VG Access read/write
VG Status resizable
MAX LV 0
Cur LV 2
Open LV 2
Max PV 0
Cur PV 1
Act PV 1
VG Size 57.16 GB
PE Size 32.00 MB
Total PE 1829
Alloc PE / Size 1750 / 54.69 GB
Free PE / Size 79 / 2.47 GB
VG UUID xH2OpL-IcW3-b65K-pZPA-ttxe-u3ER-AhpmI6
・Free PE / Size 以内で、新しい論理ボリューム(LV)を作成
Logical Volume(iscsitest)を2GB作成する。
# lvcreate -n iscsitest -L 2G /dev/VolGroup00
Logical volume “iscsitest” created
●iSCSI Enterprise Target のダウンロードとインストール
# wget http://nchc.dl.sourceforge.net/sourceforge/iscsitarget/iscsitarget-0.4.17.tar.gz
# tar xzvf iscsitarget-0.4.17.tar.gz
# cd iscsitarget-0.4.17
# make
# make install
・一時的に使うなら、Targetの設定だけで良い
まず、TargetのIDとiSCSI Qualified Nameを決める必要がある。
IDはそのiSCSIサーバでユニークな1以上の整数値で設定。
ここでは「100」とする。
iSCSI Qualified Nameは、グローバルにユニークである必要があるため、タイプ識別子「iqn.」、ドメイン取得日、ドメイン名、ドメイン取得者が付けた文字列、と並べる。
# ietadm –op new –tid=100 –params Name=iqn.2009-05.com.hoge.iscsi:iscsitest
# ietadm –op new –tid=100 –lun=0 –params Path=/dev/VolGroup00/iscsitest
・ietadmコマンドで行った設定は/proc/net/iet/volumeを参照することで確認可能。
# cat /proc/net/iet/volume
・恒久的に使うなら、ietd.conf を設定する。
(この設定では認証するように設定を行っていない)
# vi /etc/ietd.conf
Target iqn.2009-05.com.hoge.iscsi:iscsitest
Lun 0 Path=/dev/VolGroup00/iscsitest,Type=fileio
●起動設定と起動
# /sbin/chkconfig –add iscsi-target
# /sbin/chkconfig iscsi-target on
# /etc/init.d/iscsi-target start
●iSCSI Software Initiator v2.07 をダウンロード (Microsoft謹製接続クライアント)
・ダウンロード
http://www.microsoft.com/windowsserver2003/technologies/storage/iscsi/default.mspx
・インストール
普通にインストール。vistaと2008サーバは、OSに含まれているのでインストール不要。
・クライアント起動
デスクトップとコンパネに「iSCSIイニシエータ」のショートカットが作成されるので、どちらでも良いのでダブルクリックして起動。
・クライアント設定
iSCSI InitiatorのプロパティのDiscoveryタブをクリック、Target PortalsのAddボタンをクリック。
Add Target Portalダイアログで、iSCSIターゲットのIPアドレスorDNS名を登録、OKボタンをクリック。
Targetsタブをクリック、TargetsにLinux側で設定したnameが表示されることを確認。
表示されていれば、Log Onボタンをクリック。
Log On to Targetダイアログで、自動再接続などするかを確認し、OKボタンをクリック。
マイコンピュータ->右クリック->管理を開く。
コンピュータの管理画面の左ツリーで、ディスクの管理をクリック。
設定したディスクが見えればOK。
最初は認識したディスクをパーティショニング、フォーマットすること。

コンピュータの管理
・切断の仕方
iSCSI InitiatorTargetsタブをクリック、Linux側で設定したNameをクリックし、Detailsボタンをクリック。
Identifierのチェックボックスにチェック。
Log Offボタンをクリック。

右:レノボデスクトップ 左:NECサーバ
ネットワークのスピードと、CentOSが載ったNECマシンのハードディスクがボトルネックになり、シーケンシャルリード・ライト(いちばん上の緑の帯)が伸び悩み。
512Kのランダムリード(真ん中左の帯)はそこそこ健闘しています。512Kのランダムライトで約半分。
しかし、なんと4Kのランダムリード・ライトではかなりのスコアアップ。
ギガビットネットワークなら、数値がだいぶん違うのでしょうね。
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